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昔話をしよう。
初めに言っておくが、あくまで私の記憶と憶測に基づいた話だ。

【真実】がそこにあるかは、それぞれが判断すべき事だ。
理解してもらえたかな?

では、始めようか。そこの椅子にでも腰掛けて、楽にして聴いてくれ。

とりあえず、事実を整理しよう。
我が家は教会だ。表向きも、裏向きも――只の教会だ。
先祖からの付き合いかどうかは知らないが、神井家とも親交が深い。
神井家は……私も詳しくは知らないが、どうもどこかの魔物ハンターの家系の分家だとかなんとか。
どこの伝奇ファンタジーだ、と二人笑い合っていた事もある。

誰とだって?
それは、勿論。上人君の父親――神井家の主だ。
歳も離れておらず、家も近所。
娘と上人君が幼馴染なのと同様、私と彼も幼馴染のようなものだった。

さて、いのりが中学の時に巻き込まれた事件の話を一応しておこう。
……ま、色々あったんだが、とにかく要点だけ抜き出す。
その事件が元で娘は蟲憑きになった。蟲に食い殺されるかと思ったが、皮肉な事に才能はあったらしい。

それと同じ頃。上人君が能力を見出され、本家に引き取られた。
引き取られたというか、半ば拉致だ。
息子を失った神井家は、崩壊した。
何があったのかは知らない。怪しい新興宗教の類に手を出したとか、黒魔術がどうとか……そこに至るまでの原因が多過ぎて、私には分からない。
何度も説得しようとしたが、断固とした拒絶が帰ってきた。

そして、彼はゴースト化した。


私は教会に申し出た。
「彼の魂を救わせてくれ」と。私の拳で。
拒絶の言葉が返ってきた。私は理由を聞いた。

【その家は彼らの管轄だ。我々は手出しが出来ない】

「彼ら」。神井家の本家の事だろう。
私は聞いた。誰が、ゴーストを消すのか。

【――それは、】

答えを聞いた瞬間、私は教会本部を飛び出した。
拳は輝き、唸りを上げた。
本部付きの能力者が立ち塞がる中、殴り、蹴り、吹き飛ばし。彼の元へ急いだ。
炎の鞭が片手を捉えた。
もう片手で拳を叩き込んだ。
脳に直接響き渡る賛美歌が、眠りに誘った。
顔に拳を叩き込んだ。眠ってたまるか。
弾丸が、鞭が、炎が、水が、雷が、蟲が、剣が、音が――襲った。
そこまでが限界だった。

全ては終わった。
上人君はハンターとしての一歩を踏み出した。
そして私は、ハンターとしての人生を終えた。

友人の一人も救えない拳に意味なんて無い。
神の拳は、沈黙したままだ。

///////////////////////////////////////

という事で、私は今、名実ともに何の変哲も無い神父という訳だ。
分かって貰えただろうか?
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コメント
無題
現在は暇を持て余して娘に変な物を送りつけたり
突然学園に押しかけたり
娘の写真を見てニヤけるダメな父親。
【2006/11/27 00:26】 NAME[いのり] WEBLINK[] EDIT[]
うぉい!
台無しだ!?(笑)
【2006/11/27 16:12】 NAME[香] WEBLINK[] EDIT[]


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神成 いのり
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