このブログは、株式会社トミーウォーカーの運営するPBW"Silver Rain"のファンサイトの隅っこに位置づけられるようなそんな感じです。
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 鎌倉。 気だるげにベンチに深く座り、胸ポケットをまさぐる――ぴたりと動きを止めて、なにやら細いプラスチックの棒を咥える。 公園に設置されたスピーカーから、午後5時を過ぎた事を知らせる、あのメロディが流れてくる。 子供達は意に介さず、サッカーを続ける。 「おーい、こら、坊主ども。帰る時間だぞ」 だるそうな口調で、声をかける女性。 「うるさいなー、オバさん」 「オバっ……!」 咥えた禁煙パイプが砕ける音がした。 ――数分後。 「よし、もう一度言ってみろ坊主。なんだって?ん?」 土のついた服を払いながら、女はにっこり笑いかける。 「ごめんなさいおねえさんごめんなさい」 虚ろな目で言葉を繰り返す子供達。目に映るのは恐怖。 「ん、よし。じゃあ家に帰れ坊主ども。ママが待ってるからな?」 「どうせママなんて帰ってくるの遅いもん」 一人がむくれる。その子供の頭をわしわしと撫で、女は言葉を続けた。 「いいから帰れ。おっと、そうだ」 そこらに落ちていた枝を拾うと、がりがりと地面に絵を描き始める。 「なぁ、坊主。こーんな顔した、高校生くらいの姉ちゃんは知らないか?」 「んー」 「あー、付け加えると、いつもにこにこしてて、胸がおっき」 「そこのマンションに帰るの見た事があるよー」 「……このエロ坊主。ま、いいや。ありがとな?」 手を振る子供たちを適当に見送る。 街灯が公園を照らす。薄暗く、どこか寒々しい夜の公園。 「さて」 ベンチに置きっぱなしのボストンバッグを拾い上げると、女はマンションへと向かっていった。 ////////////////////////////// ぷるるるるる。 ぷるるるるる。 「……電話?」 珍しく早く帰宅したいのりが、机に置いた携帯を取り上げる。ディスプレイに光る、非通知の表示。 少々警戒しながら通話ボタンを押す。 「よーう、いのり!アタシだ!」 吹いた。 「……なんだよ。久しぶりだってのにそりゃないじゃねぇの」 「お、おばさま!?」 「おばさま言うな。一応アンタの――ああそう、今アンタん所に行っていいかい?」 「え、え、ちょっと待って……」 ぴんぽーん、とチャイム音。 「あ、お客様が」 「ああ、大丈夫大丈夫。だって」 鍵ががちゃりと開く。 「アタシだもん」 「ぎゃーっ!?」 ずかずかと部屋に上がりこんできた、ラフな格好の女性。 手にしたボストンバッグをどすんと置いて、靴を脱ぎ散らかしたまま部屋の中を見渡す。 「お、おばさま、何故ここが」 「アタシが探し物得意だって知ってるでしょ?ふーん、色気の無い部屋だこと」 「あうあう」 すんすんと鼻を鳴らす女。 「……男の匂いはしないやね。ダメだぞー、もう高校生なんだから一人や二人」 「な、なっ!?」 「そういやあの子はどうした、教会の近くに住んでた冴えないガキ。神井んとこのよー、どうだい?ヤったか?ヤってないのか?あとおばさま言うな。ママかお姉さんなら可。どっちかと言うとお姉さんがいいかなーって」 「い、い、い……」 「いい加減に、しろぉぉーっ!」 狭い部屋に蟲が舞った。 /////////////////////////////// 数日後。 鎌倉から少し離れた地方都市。 いのりの実家である教会の礼拝堂で、背の高い神父と背の低い女が話している。 「いやー、楽しかった楽しかった。いのりの慌てる様っつったらもう!青春?青春しちゃってんの?」 「……謳歌(おうか)……余り、あの子をからかわない方が」 「だーいじょーぶだーいじょーぶ。アタシの子だもん、アレくらいどって事無いさ。な、ケージ」 「……全く、もう。昔から君はそうだったね」 「ハハン?昔話かい、ケージ。歳は取りたくねえなぁ、互いに」 ケラケラ笑って、ボストンバッグを叩く女。 「で」 ぴ、とバッグからフィルムを取り出し、神父に突きつける。 「いのりの着替え生写真。幾らで買う?」 「……ちょっと待った」 「いいじゃねーか。南米の仕事がポシャっちまって、旅費だけで大赤字なんだよー。金くれよー」 「いえ、資金援助はいいんですがそのネガはちょっと」 「処分するのも現像するのも自由だぜ?な、娘にコスプレさせる変態神父」 「な、何故それを」 「本人から聞いたしー。サイッテーだなー」 「むぐぐぐぐぐ」 PR |
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