悪夢の終わり。または私は如何にして適合者になったか、その顛末

ありえない。

これは夢だ。

夢に決まっている。

その考察は逃避ではなく、事実――のはずなのに。


夢は覚めず、繰り返す。

そうして私はまた、この場所で、この言葉を聞く。





「さよなら　いのりちゃん」

二人の決着の日、その夜、自室にて

けんかした。

上人様と、口論をした。

はろーうぃん

父から荷物が届いた。

このタイミングで。

神成・いのりの帰省（中編）

＊前編からお読み下さい。

がたんごとんと揺れる車内。
鎌倉から普通電車で数時間。そこが、私達の生まれた街だ。

「ねえ、上人様」
「外で様付けはちょっと」
「じゃあ、うーちゃん？」
「はい？」
「……ふふ」
「何がおかしいんですか」

【IF Another despair】――祈りは、失われたのか？

【20XX年　関東某市】

ぷるるるる
ぷるるるる
がちゃ。

「はい、こちら【教会】。現在クソッタレ能力者の封じ込めに手一杯で悪魔の手も借りてえくらいだが、そんな忙しい時に電話をかけてくるとはいい度胸だな。用件はなんだ、５秒で頼む」
「久しぶりなのにご挨拶ですね」
「ほう、アンタか！なんだい、復帰してくれんのか？手が足りなくて困ってるんだ、アンタならいい指揮官にな――」
「いえ、今日は一つお願いを。私の代わりの神父を、うちの教会に回して欲しいのですよ」
「お安い御用だ。一般神父なら掃いて捨てるくらいあぶれてやがる。何週間だ？何ヶ月？」

「そうですね――二十年、ほど」