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ありえない。

これは夢だ。

夢に決まっている。

その考察は逃避ではなく、事実――のはずなのに。


夢は覚めず、繰り返す。

そうして私はまた、この場所で、この言葉を聞く。





「さよなら いのりちゃん」

////////////////////////////////////


もう何度目か、数えられなくなっている。
メモに刻んだ文字は次の”今日”には持ち越されない。
初めは、自室で目覚める所からだったのが――どんどんと短くなり、既に教室と結社を繋ぐ廊下から始まるようになっている。

これは夢だ。
このような事例は知っている。
ナイトメアだ。ナイトメアの見せる、悪夢だ。

能力者としての知識がそう告げる。
だが、正常な判断力は段々と削られていく。
ナイトメアに憑かれた当事者だからか、繰り返しの悪夢に心が疲れたのか。
書割のシナリオに逆らおうと、あの手この手で努力しても結局はこの場面に辿り着く。

結社、黄金と刃、オフィス。

夕陽が辺りを金色に染める中、何故か人気の無いオフィスに一人だけ立っている――神井・上人。


「やあ、いのりちゃん」

「まだ足りないのかい?」

「まだ、続けるのかい?」

「もう、十分だよ」

笑顔を張り付かせて、優しく語り掛ける。

「日常が欲しかったんだろう? 傭兵とか、能力者とか、そんなものに縛られた、血生臭い日々じゃなく」

「だから」

「さよなら いのりちゃん」


////////////////////////////////////



例え、何をしても。
結局はこの場所、この時間に辿り着く。

無力感と諦念が、私の心を蝕む。
心が折れた時、ナイトメアは私を殺すのだろう。

胸元に下げた、十字架のネックレスを握り締める。
かつてそこに繋げて下げていた、おもちゃの指輪は、今はもう無い。
どこへ消えたのかも覚えていない。

自室にあったはずの、子供の頃の写真も。
彼から貰ったはずの、聖職服も。

どこかへ消えて、今はもう無い。
私の曖昧な記憶に残るだけ。その記憶さえも奪い去られようとしている。

傭兵団のメンバーも。
教会の結社長も。

……何もかもが消えて、今目の前にあるのは黄金と刃のオフィスへと繋がる扉だけ。


神に祈る。
首に下げたネックレスをもう一度握り締めて、祈る。






ちゃりちゃりと音を立て、金属が擦れ合う音がした。


////////////////////////////////////



黄金と刃、オフィス。
夕陽が辺りを黄金に染め、立ち尽くす上人がこちらを向いて話しかける。

「やあ、いのりちゃん」

「もう、十分だろう?君は、本当によくやったと思うよ」

「君の望む夢を見せてあげよう。本当に、何も無い。普通の学生としての日常を、いつまでも過ごせるように」

「さあ」

笑顔で、こちらに手を伸ばす。

「今度こそ、さよなら。そしておやすみ、いのりちゃん」

「お断り、です」

「君も強情だな。この世界の全ては、僕の思いのままだと言うのに。君に勝ち目が無いって、分かっているはずだろう?何度も何度も、こちらが飽きる位に繰り返したんだからね」

ちゃり。

「……全てが?」

「ああ、全てが。君の記憶も、世界の細部も、思い通りに改変出来る」

「なら、聞いて宜しいですか」




「貴方の首に下がるドッグタグと、私のこのドッグタグ。何故、二つあるとお思いですか?」


「!」


空気が変わる。

ナイトメアが、その本性を現しかけた……上人の仮面が、剥がれかける。


「何故だ。僕はそんなもの、認めていない」

「でしょうね。これはきっと」

私は満面の笑顔で返した。

「本物、だから」

ぎゅっと握り締め、そう言い放つ。




「惚気は終わったか?さっさと済ませるぞ、神成」
「あーもー、俺ら必要なかったんじゃね?タイミング間違ったって!」

「……あ、あれ?マイト様?香ちゃん?」

「変な子供に頼まれてな。助けに来た」
「同じく。つーか、助けなんて要らないだろコレ。相変わらず神井の大将は美味しい所を持ってくなぁ」

愕然とするナイトメアを指差す二人。
能力者が現れたショックもあるが、先程のドッグタグのショックが大きいらしい。


「えーと……」


とりあえず私は、ぷるぷる震えるナイトメアに言った。


「降参、します?」


*上人様が余りにもステキなプレゼントをくれたので当初の予定を変更してお送りしました。
*いいんですかこのドッグタグ。
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